362 :きまぐれ鬼女 2019/12/22(日) 19:11:58 ID:Fhu
前妻と離婚話になった時
俺が有責ではあるんだが、前妻にも気持ちというか情はあった
俺と別れても幸せでいてほしかった
それで事情を説明して「だから離婚してほしい、俺にできるだけのことはする」と言ったら
前妻は眉をひそめたかと思うとガタッと椅子から立ち上がり
胸に片手をあててもう片方の手をテーブルについて体を支え
「別れろ切れろは芸者の時に言う言葉……今の私にはいっそしねとおっしゃって」
と芝居がかったしぐさでぬかしやがった

そもそも、俺は前妻のそういうところが嫌だった
おばあちゃん子だったとかで、昔の落語とか講談とか芝居とかにやたら詳しく
たとえば俺が待ち合わせに遅刻したりすると「お~そ~か~り~し~由良之助」とか
俺が酔っ払って帰ってきて、前妻の肩を借りて玄関を上がる時に
「いや~オレが担いでるのは確かにオレだけど、じゃあ担いでるオレは一体ダレだ~」とか
一人で言ってゲラゲラ笑ってんの
初めの頃は俺も「何それ?」って聞いてたんだが、続くとだんだん面倒になってきた

冗談で済む時なら聞き流せるが、二人の一生も左右する局面で
芝居だか何だかやってる場合じゃないだろう
わずかに残ってた気持ちも氷点下になって
「人が真面目に言ってる時にまたそれか!」と離婚届けを叩きつけて家を飛び出した

俺は今妻と借りていた部屋で暮らし始めて、家には戻らなかった
あとは弁護士を通したから、その時以来、前妻には会ってない
ググってみたら、上のセリフは明治時代の芝居のものらしい……知るか!
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